二ツ井戸 津の清 浪花草紙

Futatsuido Tsunose Naniwazoshi

宝暦二年創業の二ツ井戸津の清の伝統を継承しながらも新時代を開く和の表現に挑戦した浪花草紙のデザイン。

永い時空間をくぐり抜け、洗われ、削り取られても猶、存在し続けた伝統工芸品、伝統パッケージに包まれ、世界に誇る日本独自の価値感と美意識に磨かれた物達。そしてそれを永年に渡り売り続け、親しまれ続けてきた店を老舗と云うのだろう。二ツ井戸津の清は、宝暦二年(西暦1752年)大阪道頓堀二ツ井戸町で栗おこしの店として創業し、以来285年に渡って繁盛し続けた老舗である。デザインの依頼を受けたのは1970年代。当時の大阪は戦後の復興が急激に進み、都市の近代化、生活環境、食生活の欧米化によって嗜好も激変し、大阪土産の代名詞でもあった「粟おこし」の人気も凋落した時代。未だかつて無かった超薄形の商品開発を実現し、日本の伝統を継承する古代紫を基調とし漆の木箱に近い感性を新技術の開発によってブリキ印刷缶で実現する事ができた。ロゴも思いきった表現とし、浪花草紙は現代に伝承された新しい津の清の象徴となった。今後もロングセラー商品として生き続ける。

1977年ニューヨークADC 日本のグラフィックデザイン銀賞

浪花草紙

浪花草紙